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効果的な単価アップの方法

 商品やサービスの売り方には、様々な戦略が存在しますが、その中でも「松竹梅」の3つのコースを設ける手法は、顧客の選択行動に影響を与え、売上を向上させる効果的な方法の一つです。お蕎麦屋さんのように、価格が異なるコースを提供することで、顧客の選択を誘導することができます。これは、行動経済学の観点からも理解されており、極端性回避の法則として知られています。実際の実験結果からも、この戦略の効果が裏付けられています。

 

 研究によれば、3つの選択肢がある場合、真ん中の選択肢が最も選ばれやすい傾向にあります。具体的な例を挙げると、デジタルカメラの選択実験で、約6割の被験者が真ん中の価格帯のカメラ、約2割が上の価格帯のカメラ、同じく約2割が下の価格帯のカメラを選んだという結果が得られました。この傾向をマーケティング戦略に応用することで、売上の最大化が可能です。

 

 この戦略を応用する際のポイントは、各コースの位置付けと選択肢の魅力を工夫することです。例えば、「竹」コース(真ん中の価格帯)を利益率の高いお勧め商品で充実させることで、多くの顧客がこのコースを選ぶ可能性が高まります。商品販売の場合、売れ筋商品を大量仕入れすることで原価を下げ、利益率を向上させることができるでしょう。

 

 「松」コース(最高価格帯)には、高級な商品やサービスを用意し、価格が高いことを裏付ける付加価値を提供することが重要です。一定割合の顧客は最高級品を選ぶ傾向があるため、このコースにも充分な魅力を持たせることで利益を最大化できます。

 

 一方で、「梅」コース(最低価格帯)は、あえて選ばせるよりも他のコースへ誘導するための位置づけを考えることが重要です。原価に対して十分な利益を確保しつつ、竹コースへの誘導を促進する工夫が求められます。

 

 また、提供する選択肢の順番も重要です。一般的な成功パターンとしては、高価な「松」コースを最初に提示し、顧客が価格に懸念を持つ場合は「梅」コースを提案することで、品質に対する懸念が出るかもしれませんが、その後「竹」コースに落ち着くという流れです。これにより、顧客は真ん中の価格帯で落ち着くことが多くなり、総売上を増やすことができるでしょう。

 

 価格帯の集約による客単価の向上も魅力的なポイントです。異なる価格帯の商品やサービスがある場合でも、松竹梅のような3つのコースに再編成することで、選択しやすさが向上し、客単価をアップさせることができます。

 

 要するに、松竹梅の価格戦略は、選択肢の心理的な効果を活かして顧客の行動を誘導し、利益率の向上につなげる魅力的な手法です。少しの工夫と戦略的な提案によって、ビジネスの成果を最大化することが可能です。成功事例を参考にしながら、自身の商品やサービスに適用してみることをおすすめします。