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フロントエンドとバックエンド

 売りにくい商品を売る際に、販売を2段階に分けて行う方法があります。この戦略は、フロントエンドとバックエンドと呼ばれています。

 

 フロントエンドは、集客商品として位置づけられ、低価格(もしくは無料)で提供されたり、手軽な分量で試してもらうことで新規顧客を獲得する役割を果たします。一般的にフロントエンドの商品自体で直接的な利益を得ることは難しく、むしろその商品自体から利益を得ることを主眼に置くべきではありません。

 

 それに対して、バックエンドは利益を生む商品で、フロントエンドで集めた顧客層に対して、本当に売りたい商品を提供する段階です。この際には、商品の価格設定を通じて利益を追求します。

 

 たとえば、減量のサプリメントを売りたい場合、最初から高額な定期購入プランを提案するのではなく、まずフロントエンドとして、手ごろな価格の10日分の商品を提供し、顧客に試してもらうことが考えられます。

 

 重要なのは、フロントエンドとバックエンドの一貫性です。例えば、住宅展示場の集客のために風船を配ると、子供たちの興味を引くことができるかもしれませんが、それが本来の目的である住宅販売に結びつくかどうかは疑問です。

 

 住宅販売の場合、フロントエンドとしては、「賢い住宅の建て方」といった情報をまとめた冊子を作成し、風船と共に配布するなどの工夫が必要です。

 

 士業など、形のないものを売る場合、フロントエンドとして無料相談を行う場合があると思います。フロントエンドとバックエンドの一貫性という点では問題ありませんが、これは考えようによっては、無料としてしまうと、「先生」のステータスが下がりますので、有料にして、本契約をした場合の内金として充当するなどがお勧めです。

 

 また、フロントエンドを無料にすると、興味本位で相談を利用する「冷やかし客」が増えるかもしれません。良質な顧客との関係を構築したい場合には、少額でも有料とすることを考える方が良いでしょう。