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ツァイガルニク効果とマーケテイング

 友達と話をしていて、「こないださ~、○○があって、・・・ヤッパリ言うの止めた」といわれて、じれったい思いをしたことはありませんか。どうしても続きが聞きたくなると思います。このような経験は、私たちが「ツァイガルニク効果」と呼ばれる心理現象に影響されている可能性があります。ツァイガルニク効果とは、人が未達成の事柄や中断した事柄に対して、達成した事柄よりも強く関心を持ち、覚えている傾向を指します。つまり、途中で中断された情報には私たちの注意が引きつけられ、それに対する興味や欲求が高まるというものです。

 

 上記の例のように、話を途中まで聞かせて止めると、聞いている人は自然と続きを知りたくなります。この現象は、人間の情報処理や注意のメカニズムに関連しており、未完了の情報が脳内で引き続き処理されるため、それに関連する情報がより強く記憶されるのです。これを考慮して、ツァイガルニク効果はマーケティングや広告の世界で効果的に利用されています。

 

 ティーザー広告という手法は、このツァイガルニク効果を巧みに活用したものです。例えば、車のCMなどでよく見られるティーザー広告は、商品やサービスの一部分やハイライトをチラ見せすることで、視聴者の興味を引き、続きを知りたくなる心理を刺激します。視聴者は「どうやってそれが起こるのか?」や「どんな結末が待っているのか?」といった疑問を抱き、次の情報を求める気持ちが高まります。このような戦略は、興味を持たせて商品やサービスに関心を集め、最終的には購買につなげるために有効な手段です。

 

 ティーザー広告は、インターネットマーケティングの世界でも幅広く応用されています。特に、メールマーケティングにおいては、興味を引きつけて開封率を高めるためにティーザーの手法が効果的です。例えば、新規顧客からメールアドレスを取得した後、ステップメールを送る際に「この続きは次回のメールでご説明します」というように、未知の情報や内容の一部分を示唆しておくことで、受信者は次回のメールを楽しみに待つようになります。その結果、次回のメールの開封率が向上し、情報の伝達やプロモーションの効果が高まるのです。

 

 要するに、ツァイガルニク効果とティーザー広告は、私たちの心理的な特性を利用して興味や関心を引きつける手法です。未完成や未知の情報は私たちの好奇心を刺激し、情報を追求したくなる本能的な欲求を呼び起こします。これらの手法を適切に活用することで、商品やサービスの認知度を高め、顧客のエンゲージメントを増加させることが可能です。