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寄付やボランティアなどの社会貢献は公にしたほうがよいのか

 皆様のなかには、寄付やボランティアなどの社会貢献活動をしていらっしゃる方も多いと思います。日本人の美徳として、そういった行為は自分で宣伝せずに人目につかないように行うという意識があると思います。

 

 少し前に、施設の子どもにランドセルを匿名で寄付した方(タイガーマスクさん)がいらっしゃいましたが、とても良い話と思います。

 

 聖書にも、「施しをするときは、右の手のすることを左の手に知らせてはならない。 あなたの施しを人目につかせないためである。 そうすれば、隠れたことを見ておられる父が、あなたに報いてくださる。」とあります。

 

 洋の東西を問わず、施しは自分が賞賛を受けるためにするものではない、という意識は一定程度浸透していると思います。

 

 ただ、これが企業の施し(社会貢献活動)となると、話が別です。起業の場合は、多くのステークホルダーを抱えており、寄付金や無償奉仕活動などを各ステークホルダーに明瞭に報告する義務があります。

 

 CSRの世界では、社会貢献活動をCSR活動報告書などで発信してしっかりと公にすることが普通です。活動を公にすることにより、当該企業は回りまわって見返りを受けることになります。(「情けは人の為ならず」の論理です。)そして、企業はそのことを期待してもいいのだと思います。

 

 社会貢献活動が企業の一環として行われる場合、その活動は組織やブランドの価値を高めるだけでなく、地域社会や社会全体に対してポジティブな影響を与えることがあります。これは企業が持つ一定の社会的責任に基づくものであり、社会的な信頼性や長期的な持続可能性にも影響を及ぼす重要な要素です。

 

 また、企業の社会貢献活動は顧客や投資家に対しても重要な情報源となります。企業の倫理観や価値観に共感する顧客は、その企業に支持を寄せる可能性が高まります。同様に、投資家は企業が持続可能な事業戦略を採用し、社会的責任を果たしているかを重視する傾向があります。

 

 しかし、社会貢献活動を行う企業にとっても、それは単なるPR活動だけでなく、真の意味で社会に貢献するための取り組みが求められます。社会的な問題に対して貢献することで、企業は社会からの信頼を築き、長期的な繁栄に繋がることができるでしょう。

 

 個人の社会貢献は隠れて行い、それが美徳として称えられる一方で、企業の社会貢献は堂々と公表するのが良い選択と言えるでしょう。企業はステークホルダーや社会に対して責任を持ち、その活動を透明に公開することで信頼を築き、社会的な課題に対して積極的に貢献していくことが重要です。