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CSRとマーケテイング

 CSR(Corporate Social Responsibility)は、企業の社会的責任を指します。この概念をより分かりやすく説明するために、近江商人の「3方よし」が用いられます。この考え方は、「売り手よし、買い手よし、世間よし」という3つの側面が調和してこそ、本当の意味での企業の社会的責任が果たされるというものです。

 

 一方、マーケティングの巨匠であるコトラーは、マーケターが企業の利益、消費者の満足、そして公共の利益を調整することで、持続可能なマーケティング活動を行うべきだと述べています。これがソサイエタル・マーケティングとして知られる概念です。ソサイエタル・マーケティングは、単に利益追求だけでなく、社会的な側面にも目を向けることが大切であるという考え方です。

 

 この二つの概念が一致していることは興味深いことです。洋の東西を問わず、商売の真理は共通しているということを意味します。企業は単に利益を追求するだけでなく、社会的責任を果たすことが重要であるという点で、世界中の企業が共通して理解していることが分かります。

 

 さらに、CSRが単なるボランティア活動や慈善活動だけではなく、事業活動を通じて幅広いステークホルダー(利害関係者)が幸せになるような素晴らしい取り組みであることを理解する必要があります。つまり、企業は利益追求だけでなく、社会や環境に対して責任を持ち、持続可能な事業活動を行うことが求められています。ステークホルダーとは、株主、従業員、顧客、サプライヤー、地域社会など、企業に影響を与えるさまざまな関係者のことを指します。

 

 このように、CSRとソサイエタル・マーケティングの概念は、企業が社会的責任を果たすためには利益追求と社会的な側面の調和が必要であることを示しています。持続可能な社会を築くためには、利益を追求しつつ、ステークホルダー全体の幸福を考えた活動が重要となるのです。