一般に、新規客の獲得コストは既存客を維持するコストの5倍かかると言われています。つまり、同じ売上げを上げるためには、既存客を大事にしていく方が効率が良いということです。
これを具体例で見てみましょう。
<既存客の獲得コストと収支>
- 新規客100人の獲得に要する広告費:30万円
- 顧客1人当たりの購入金額:1万円
- 顧客のリピート期間:2年
- 顧客1人当りの2年間の売上:2万円
- 顧客100人分の2年間の売上:200万円
企業の利益率(営業利益):10%
顧客生涯価値(1人当り):2千円
顧客生涯価値(100人分):20万円
収支:▲10万円
この事例では、顧客100人を新規に獲得する費用のほうが、顧客生涯価値(LTV、ライフタイムバリュー)よりも大きいため、新規客を獲得するための広告戦略は失敗していると言えます。
しかし、既存客の維持コストが新規客獲得コストの5分の1だと仮定すると、以下のようになります。
<既存客の維持コストと収支>
- 既存客100人を維持するためのコスト:6万円
- リピート(100人分×1回リピート):10万円
- 収支:+4万円
この場合、収支は4万円のプラスとなります。つまり、既存客のリピートが大切であることが分かります。
リピートが望めない業種(住宅メーカーや結婚式場など)以外では、顧客のリピートを大事にすることが繁栄への第一歩です。
新規客獲得にかけるコストをリピート獲得に向けることが売上を維持・拡大するためのひとつの手段となりうるでしょう。顧客との長期的な関係を築き、信頼を構築することが、企業の成長にとって重要な要素となります。