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マズローの欲求5段階説とマネジメント

 人間にはさまざまな欲望がありますが、20世紀初頭に生まれたアメリカの心理学者である、マズローが唱えた欲求5段階説は、人間の欲求には5段階あり、低次の欲求が満たされると、順に高次の欲求に移っていくというものです。5段階は、低いほうから、生理、安全、社会、承認、自己実現となっています。

 生理的欲求とは、食べたい、飲みたい、眠りたいなど、肉体が欲するものです。動物的な本能と大差ありません。

 安全欲求とは、健康や、危険などから守られること、経済的な安定など、安心安全に関わることです。会社組織においては、労働条件や労働安全衛生などに対する要求と捉えられます。

 社会的欲求とは、家庭や職場、人間関係などの集団に帰属したいという欲求です。会社組織では、職場に順応し、受け入れられたいという欲求になります。

 承認欲求とは、自分を認めてほしいという人間の尊厳にかかわる欲求です。会社組織では、仕事などで達成感を得て、周囲に認められたいという欲求です。

 最後の自己実現の欲求とは、自己の能力を十分に発揮して、社会に貢献したいという高次の欲求です。会社組織においては、報酬や名誉にかかわらずに会社の理念の実現のために自己犠牲をも惜しまずに働きたいという欲求です。

 現実の社会では、必ずしもこのように段階を踏んで欲求が推移しない場合も多いと思いますが、参考になる考え方ではあります。マネジメントにおいては、社員の低次の欲求を満たしつつ、いかに高次の欲求にシフトさせるかが課題となります。私の経験上は、これらの欲求のすべてを満たすことができるよう、会社の仕組みを整えてあげることで、従業員満足が高まり、結果として良い経営を行うことができると思います。5つの段階は記憶しておいて、会社がこれらを常に満たすことのできる状態にあるか、監視するとよいでしょう。