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新連携計画の事業計画

 

 もう10年ほど前になりますが、私が中小企業診断士になりたての頃に、(独)中小企業基盤整備機構 関東支部の新連携事務局に在籍し、支援専門員として、案件を担当するサブマネージャーの補助を行っていました。毎日のように事業者から持ち込まれる新規事業計画に対するアドバイスやダメ出しの現場に同席し、様々なことを吸収しました。約1年間ほどの在籍でしたが、駆け出しの中小企業診断士としては大変良い経験になったと思います。

 

 今回は、その当時の経験から、新連携計画の事業計画について書きたいと思います。新連携計画の事業計画を作成する上で、大切な視点が3つあります。その3つとは「新規性」「事業性」「連携体」です。

 

 「新規性」とは、中小企業等経営強化法に規定されている新事業活動に該当するだけでなく、その業種や地域で新しい取り組みであることが必要です。つまり、自社にとって新しい取り組みであっても、同業者がすでに始めているような事業は認められません。地域で初めての取り組みであれば、認められる可能性があります。また、取り組みの結果として、新しい事業分野を開拓することが求められます。

 

 「事業性」は「需要が相当程度開拓されること」とあり、しっかり利益を稼いで事業として成り立つことが必要です。10年以内に融資返済や投資回収が可能であることが必要です。

 

 「連携体」のポイントは、異分野の企業が単なる受発注の関係ではなく、有機的な連携体を構成しているかです。経営資源(強み)を持ち寄り、その経営資源を組み合わせた結果として、新たな製品やサービスの創出につながっているか。強みの足し算ではなく、掛け算となるような、関係が求められます。

 

 新連携の「連携」をわかりやすく例えたものとして、海苔の養殖と紙を漉く製紙技術が掛け合わさって海苔(板海苔)が生まれたという話があります。海苔の起源としてこの話が正しいかどうかは定かではありませんが、そのような有機的な連携と新事業の創出が、新連携の事業計画には求められます。

 

 新連携の認定を受けることによって利用できる補助金は、最近では商業・サービス競争力強化連携支援事業(新連携支援事業)のみとなっており、ものづくりは除外されているようです。直近では平成30年6月8日付けで関東経済産業局より6件の事業が採択されています。

 

 新連携の認定は、国の事業認定であり、「お墨付き」を得ることです。国の「お墨付き」が新事業を行う上で、強力な後押しとなることは言うまでもありません。 サービス業で企業連携による新事業をお考えのかたは、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。