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創業時の事業計画 自社の勝負領域(事業ドメイン)を決めよう

 新しくビジネスを始める方の事業計画の中には、自社の勝負領域(事業ドメイン)がはっきりしていないケースが多々あります。事業ドメインとはビジネスにおいて、「誰に」「何を」「どのように」提供するかを明確にしたものです。単なる5W1Hとは違います。創業時の事業計画書作成のコツがあるとすれば、この3点を明確にすることだと思います。

 

 事業ドメインがある程度決まっていても、頭の中が整理できていないために事業計画に表すことができないケースもあれば、事業ドメイン自体がはっきりしないために、不明瞭な計画になってしまっているケースもあります。

 

 いずれにしても、自分がどのようなビジネスを行いたいかをはっきりさせるためには、この3点(誰に、何を、どのように)が欠かせません。

 

 それでは、3つの要素それぞれについて説明したいと思います。

 

 まず、「誰に」ですが、自社の市場がどこにあるか、顧客が誰であるかを明確にすることです。同じ商品を売るのでも、誰に対して売るかによって、宣伝の方法やアプローチの仕方が変わってきます。幅広く全ての人、顧客を相手にしてビジネスを行うことができれば理想ですが、中小企業のマーケティングにおいては、対象を絞ることが成功への近道と言われています。アパレルブランドでは性別、年齢、ライフスタイルなどで対象を細分化して、ターゲットを決めています。飲食店でもサラリーマン相手なのか、主婦やファミリー層を相手にするのかで、内装やメニュー、宣伝方法などが変わってきます。

 

 次に「何を」ですが、自社の商品・サービスや顧客ニーズを明確にすることが必要です。同じラーメンを提供するのでも、中華料理店とするのか、ラーメン専門店にするのかは大きな違いです。ものづくり企業などで、先に製品や核となる技術が決まっている場合は、それを中心に考えていけばよいのですが、商品やサービスは市場に受け入れられなければ意味がありません。市場の要求に合わせて柔軟に対応できるよう、あまり狭い領域に限定せずに、ある程度幅をもたせて決めておく必要があります。

 

 最後に「どのように」ですが、これは商品やサービスの機能や独自性について明確にすることです。ラーメン店ならデリバリーを行うかなど、今流行りのいきなりステーキなら、立食でリーズナブルなステーキを提供するなどです。

 

 創業時に定めた事業ドメインが年月の経過とともに、実態と合わなくなってくる場合があります。そのような場合には、事業ドメインの見直しが必要になります。一度決めた事業ドメインは、困難に直面してもある程度は変更せずに踏みとどまることが大切ですが、戦略の大幅見直しに伴って事業ドメインを変更することは必要です。

 

 創業事業計画を上手く作成するためのポイントは事業ドメインにあることがお分かり頂けましたでしょうか。「だれに「何を」「どのように」を明確にして、説得力のある事業計画書を目指しましょう。