日々の業務のなかで、少しずつ業務を改善していくことを、経営改善といいます。経営改善は坂道を登ることにたとえられます。これに対して、経営革新は、これまでと違った取り組みをして事業を変革することであり、段差のある階段を上ることにたとえられます。
たとえば、これまで部品や部分品の製作を行っていた会社が、完成品(製品)の製造を始めることは経営革新にあたります。また、これまで手作業で行っていた社内業務を、ITを導入して効率化することも、経営革新にあたります。
事業環境は常に変化しています。政治、経済情勢などの外部環境やなど、事業環境は常に変化しています。この変化に対応していくことで企業は生き残りを図ることができます。逆に、変化に気づかずにそのままでいたらどうでしょう。時代に取り残され、競争に敗れて、企業は衰退してしまうでしょう。
では、経営革新はどのように行うことができるのでしょうか。
経営革新を単純化すると、以下の3ステップに集約されます。
(1)現状を分析する
(2)あるべき姿を描く
(3)(1)と(2)のギャップを埋める
以下、各ステップを詳しく解説します。
(1)現状を分析する
事業の分析にはSWOT分析(強み、弱み、機会、脅威)等、さまざまな分析ツールが用いられます。それらのツールを用いて事業の現状を明らかにしていきます。たとえば、法改正の影響で当社の得意とする分野のビジネスチャンスが拡大するなどです。
(2)あるべき姿を描く
経営者自身がどのような経営をして、事業をどのようにしていきたいか(=思い)を明確にしたうえで、5年後、10年後の有るべき姿を描きます。
(3)(1)と(2)のギャップを埋める
有るべき姿を実現するには、どのような策を取るべきかを明らかにします。(あるべき姿)-(現状)の引き算で考えます。たとえば、10年後に環境を重視した先進的な取り組みを行う企業を目指すために、今から新分野進出に向けて研究開発を開始するなどです。
当事務所では、経営革新計画の作成をお手伝いしております。新事業展開をお考えの方、補助金申請の前に経営革新計画の承認を目指してみませんか。経営革新計画の承認は、多くの支援措置のみならず、補助金申請の際にも有利に働くものです。経営革新をお考えの際は、当事務所にご相談ください。
経営革新は、これまでと違った取り組みをして事業を変革することですので、自社の計画にもとづいて、自由に行えばいいのですが、国の施策で、経営革新に取り組む企業を応援する制度があります。この制度にはさまざまなメリットがあります。
中小企業新事業活動促進法に基いて、新商品・新サービス開発などの経営革新計画を作成し、都道府県知事の承認を得ると、計画期間中、さまざまな支援措置を受けることができます。支援措置のうち、よく利用されているのが、信用保証協会の保証枠の別枠です。無担保保証であれば、通常の枠8,000万円に加え、別枠で8,000万円の利用が可能になります。
新商品・新サービスは、自社にとって新たな取組であれば、既に他社が採用している技術・サービスであっても対象になります。ただし、既に相当程度普及している技術やサービスの場合は対象外になりますので、ある程度の新規性が必要になります。
新事業は、次の4つの類型のうち、1つ以上に該当する必要があります。
1.新商品の開発又は生産
2.新役務の開発又は提供
3.商品の新たな生産又は販売の方式の導入
4.役務の新たな提供の方式の導入その他の新たな事業活動
また、経営目標については、付加価値額および給与支給総額が、相当程度向上(3~5年の計画で、目標値が○%と定められている。)する計画であることが必要です。
経営革新計画の承認を得ると、以下の様な支援措置が受けられます。
支援措置の概要(神奈川県の場合)
1.政府系金融機関等による低利融資
日本政策金融公庫の低利融資を利用できます。
2.中小企業信用保険法の特例
承認を受けた経営革新計画を行うため必要な資金について、通常の保証限度額とは別に、同額の別枠を設けています。
3.中小企業投資育成株式会社法の特例
資本金が3億円を超える株式会社についても、投資育成会社の投資事業の対象となることができます。
4.(地独)神奈川県立産業技術総合研究所の減免制度
(地独)神奈川県立産業技術総合研究所に依頼される方は、手数料及び使用料について、軽減申請(半額)ができます(上限あり)。
5.海外展開に伴う資金調達支援
国内中小企業者が、外国関係法人等(海外子会社等)も関連して新規事業を展開する場合に、外国関係法人等の現地金融機関からの資金調達や国内中小企業者の海外子会社等への投資を支援します。
経営革新計画の承認取得のためのご支援につきましては、お問合せ下さい。